青い日記帳 

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笑いトーク・スペシャル「日本美術応援団、展覧会を笑う」

森美術館で開催された「日本美術が笑う」展パブリックプログラム
“笑いトーク・スペシャル「日本美術応援団、展覧会を笑う」”に参加して来ました。
(「日本美術が笑う:縄文から20世紀初頭まで」展 関連イベント)

 

日本美術応援団として有名な?
赤瀬川原平氏(作家、美術家)と山下裕二先生(明治学院大学教授)による
トークショーが森美術館の展覧会会場で行われました。

日本美術応援団
日本美術応援団
赤瀬川 原平,山下 祐二

およそ90分に渡り、今回出展されている作品の解説?や見所?を
司会も入れずに、お二人で自由気ままにおしゃべり。

以下簡単にご紹介。展覧会の感想にある画像と併せてご覧あれ。

1.土の中から〜笑いのアーケオロジー:土偶、埴輪

今回の展覧会の会場入ると土偶や埴輪が丸く輪を描くように展示されています。
その中には本当に笑っているものから、これどうかな〜というものまで様々。

山下先生と赤瀬川氏で「これは笑ってるね、完全に!」など等。
ひとつひとつ判定を。

笑う土偶のスライドを観て赤瀬川氏が「これ南伸坊に似てるね!」
「あーーでもこの出っ張っているの耳か〜彼はエラだからなー」
(因みに南伸坊さんも日本美術応援団団員)

でも赤瀬川氏はそんなやんちゃな発言ばかりかと思いきや
いきなり「この笑う兵士の埴輪はピカソの描くアルルカンそっくりだね」
なんて鋭い指摘も。確かに言われてみればそう見えます。

また馬とそれにまたがる人物の埴輪を観て
「日本美術の良さは合理性とかまるきり無視しちゃっていることだね」と。
馬が極端に大きく、人物が逆に小さいのです。その埴輪。

これら笑う兵士の埴輪を見ても、言うことふるっています。

「お墓に入れるものでも中国の兵馬俑とは大違いだね。僕ならこの笑う埴輪の入ったお墓に埋葬されたいな〜」
間髪入れず山下先生も
「兵馬俑ってしかめっ面してますものね。あれ嫌ですね。安心できそうにないです」

2.意味深な笑み:寒山拾得、近世初期、風俗画、麗子像
  雪村、円山応挙、長澤蘆雪、曾我蕭白、甲斐庄楠音、岸田劉生

司会がいない代わりに山下先生が進行役を務め、このセクションも飛ばします。

岸田劉生の有名な「麗子像」は「寒山拾得」の影響を受けているとのこと。
スライドで比べながら説明。展示会場もそのような作りになっています。

山下先生「岸田劉生って38歳の若さで亡くなってしまっているのに後に与えた影響はかなりものがあります。『デロリの美』という言葉は岸田の造語です。(デロリの美を表現しているのが甲斐庄楠音の作品だそうです)」参考サイト

なんて真面目な話をしたかと思うと
「寒山拾得は多くの画家に描かれ、岸田にも影響をあたえましたが、現代では天才バカボンまでその流れは続いているのでは。赤塚先生も影響受けているはず。きっと」


伊藤若冲「寒山拾得

山下先生「若冲って今人気者ですが、人は大嫌いだったようです。動物や植物はあんなに見事に描き表すのに、人物画は極端に少ない。この寒山拾得図だってイヤイヤ描いた感じ。右の拾得なんて背を向けてしまっています。」

寒山拾得・布袋・達磨の描法
寒山拾得・布袋・達磨の描法
山田 玉雲


3.笑うシーン:曾我蕭白、英 一蝶、池 大雅、河鍋暁斎

山下先生が曾我蕭白のことについて話している途中に
「そういえば蕭白の描く仙人の顔って会田誠に似ているんですよね!蕭白も会田も絵描きとして共通項あるように思えます。腕はあるのにストレートに表現しない」
これには赤瀬川氏も深く頷いていました。

更に「蕭白の描く仙人の顔、ビン・ラディンに似ているんです。やっぱりそう考えると会田似と言えますね」

河鍋暁斎の「放屁合戦絵巻」について二人で語ったあと、山下先生が
「そういえば、来年京都で『河鍋暁斎展』やるので観に行きましょう」ですって。
おーーこれは自分も行かねば。

真打登場です。会場も沸きます。

つきしま物語絵巻」室町時代

「美しく下手な絵だね〜」「この絵巻人柱伝説描いた悲しい話なのに全然そんな感じがしない。それどころか笑ってしまいます」「下手でも清潔感のある下手ですね。狙って描いていないから」「ヘタウマとかいって狙って描くとイヤラシくなっちゃうからね」「それにしても室町時代にこれだけの顔料使って描かせたのだからお金はかなりかかっているはず、それなのに…こんなに下手なのがスゴイ!」

この絵に関してはお二人が言葉を乱射したのでどちらがどちらのコメントだか分りません。ご勘弁あれ。

赤瀬川氏「犬や猫を可愛いと思う気持ち、例えば障子破ってもしょうがないな〜と思える気持ち。そんな気持ちに通ずるものがこの絵にはあるね」
「僕、これが一番欲しい」

それと、もうひとつの目玉。

昨日も紹介した「洛中洛外図屏風」江戸時代

山下先生「アウトサイダー系洛中洛外図屏風です」
「金箔やら顔料やら高いものふんだんに使っているのにこれまた下手」

赤瀬川氏「下手だけど一生懸命描いている感じだね」
「素朴派のルソーを思い出すような絵」

山下先生「今まで色々な作品を見てきたけど、これほどまでにビックリした作品は他にないです。この堂々加減がヤバイ(「つきしま」は可愛いけど)」

「それにこの屏風、保存状態が最高なんです。きっと注文主が出来上がったこれ観てあまりの出来に怒ってそれからお蔵入りしたのでは?」

「洛中洛外図の用途(地方の人に都はこんなスゴイ所ですよーとアピールするもの)とはかけ離れているというか…これ地方の人にもし見せたら、都ってこんな酷い所だと思われてしまいますね。」

赤瀬川氏「ところでこれってお幾らくらいで買えるの?『2ベンツ』くらい?」
(1ベンツは500万円だそうです。単位として)

山下先生「それくらいでしょうかね。これ一番僕欲しいです」
「『長谷川法橋巴龍筆』とサインが立派な文字で書かれています。「法橋」というのは非常に地位の高い人を指す言葉だそうです。これだけの人物なら必ず名前(法龍)がどこかに残っているはずなのですが、全く見当たりません。きっとウソでうすね。でっちあげです。そのくせサインは堂々としているから不思議です」

参考:「法橋」…法橋上人位の略。法眼(ほうげん)の次に位し、律師(りっし)に相当する僧位。五位に准ずる。中世・近世には医師・画家などにも与えられた。

山下先生「あっ!新説思い浮かびました!!『長谷川法橋巴龍筆』とありますよね。これってきっと狩野派の陰謀ですよ!長谷川派ってこんなに下手なんだぞーって陥れるために狩野派がこの絵描いたのでは?」

赤瀬川氏「面白いですね〜そうしておきましょう!決まりです」

狩野派決定版
狩野派決定版
山下 裕二,安村 敏信,山本 英男,山下 善也


4.いきものへの視線:狩野山雪、俵屋宗達、円山応挙、伊藤若冲

山下先生「ここは打って変わって癒し系の作品を集めてみました」

(昨日の記事で紹介した若冲の白象や芦雪の牛さん、それに神坂雪佳の金魚、俵屋宗達の犬たちが次々とスライドで紹介。表装と作品との関連についてお話されたあと…)

また曾我蕭白の登場です。

獅子虎図屏風」の獅子の部分です。

赤瀬川氏「これ随分驚いたような顔しているね」

山下先生「よく観て下さい。こいつ獅子のくせに蝶々にこんなに驚いているのですよ」

赤瀬川氏「あっ!本当だ!視線が蝶々に向いてますね」

山下先生「左に描かれた虎がこの有り様見て『弱っ!』って言っています」

赤瀬川氏「急に思い出しましたが蕭白の描く人物の足って、大野一雄さんの足にそっくりですね」

曾我蕭白―荒ぶる京の絵師
曾我蕭白―荒ぶる京の絵師
狩野 博幸

森狙仙の描いた円形をした「猿図」があります。
かなり大きな作品です。なんでもメスばかりが描かれているとか。
それを観て、聞いて赤瀬川氏曰く「これってアングルの描いた「トルコ風呂」にそっくりだね」とこれまた鋭い指摘。

そう言われてしまうと、もうアングルにしか見えなくなります。
赤瀬川氏の物を見抜く眼は凄いと実感させられました。

5.神仏が笑う〜江戸の庶民信仰:伊藤若冲、白隠、円空、木喰

このセクションに辿り着いたころはもうそろそろ終了のお時間。
白隠の「ゆるさ」や南天棒を賞賛して、円空のこぼれ話を紹介しお開きとなりました。

名画読本 日本画編
名画読本 日本画編
赤瀬川 原平

京都、オトナの修学旅行
京都、オトナの修学旅行
赤瀬川 原平,山下 裕二


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この記事に対するコメント

今日はお会いできて良かったです。
でも展示を見るのが忙しくてあまりお話できませんでしたね。
帰ってすぐ、こんなに詳しいレポートが書けるなんて、Takさんさすがですね。

曾我蕭白と会田誠が似ているっていうのは、なーるほどと思いました。
二人とも、もの凄い上手さなのに表現が偽悪的というか…。
だから好きと言い切るのに抵抗があるけど、とんでもなく面白くて目が離せないんですよね。
あと、狩野派の陰謀には爆笑してしまいました。



大の | 2007/01/31 1:11 AM
この対談のレポートを読んで、絶対にこの展覧会に行きたくなりました。
狩野派の陰謀も確かめたいし・・・
GAKKO | 2007/01/31 10:23 AM
ご無沙汰致しております。
このペアのギャラリートークはいつもいつも仕事が入って行けません。何度目の断念でしょうか・・

とはいえ、展覧会はとてもわくわくです。
絶対に行きます。

日本画の授業で
「雪舟のあの有名な国宝の軸『冬』さぁ。あれ、小っちゃいんだよ!とにかく小っちゃいの!」
と連呼されてた山下先生が私は大好きでした。
今でもだいすきです。
マユ | 2007/01/31 10:50 AM
面白かったです!
今日「笑う」展に行ってきたばかりなので、思い出して笑いながら読みました。
私から見ても「下手だなあ」という絵が結構あって、それがかえって可笑しさを醸し出していたので、センスの良い展覧会だと思っていました。
ogawama | 2007/01/31 10:36 PM
こんばんは。この「日本美術応援団、展覧会を笑う」のトークは、気づいたときは満員で申し込めませんでした。

でも、Takさんのブログのおかげで、概略を知ることができ、感謝です。「長谷川法橋巴龍筆」が狩野派の陰謀だという説、好きですね。
jchz | 2007/02/01 12:33 AM
@大のさん
こんばんは。

私もお会いできて嬉しかったです!
最初お声かけていただいたとき
ビックリしました。お誘いしたかな〜って。

レポートはその日のうちに書かないと
書く気が失せるので一気に乱筆ですが。

>もの凄い上手さなのに表現が偽悪的というか…。
シャイなのでしょう、きっと。
そう解釈しておきます。今のところ。

狩野派の陰謀説は本当かもしれません(笑

@GAKKOさん
こんばんは。

すげーー下手ですよ。
しかもお金かけた下手。言葉失います。
感想楽しみにしています。

@マユさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

仕事場から電車で駆けつけて
なんとか間に合いました。
会議が入ったらアウトでした。

展覧会は良く出来ていると思います。
是非、行かれたら感想も。

山下先生のお話だいぶお聞きする機会が
ここ数年であったのですっかりこちらも
虜になってしまった感じです。

@ogawamaさん
こんばんは。

下手ですよね〜
今後、Sさんも誘ってご一緒しましょう。
そしてげらげら笑いましょう。
一人で行くとちょっとはばかってしまいます。
これで既に二回目ですがまだまだ行きますよ!

@jchzさん
こんばんは。

そうですか。。。満員だったのですね。
もっと広い場所でやってもよかったかもしれませんね。
きっと聴きたい方沢山いるはずです。

狩野派の陰謀説はほんと笑ってしまいました。
でも「長谷川法橋巴龍筆」文字だけは上手いんです!
Tak管理人 | 2007/02/01 12:56 AM
こんにちわ、コメントありがとうございました。いつも楽しみに拝見しています。
(コメント入れようとしたら、もう3ページも前になってしまっていてびっくり!)
トーク楽しかったですね。この後「応援団」シリーズ読み直して、京都に行きたい病が出そうで困っています。
かえる | 2007/02/10 11:07 PM
@かえるさん
こんばんは。
こちらこそコメントありがとうございます。
TB送れずに申し訳ないです。

京都は5月に若冲を観に行かねばなりません。
義務のようにのしかかっています。
赤瀬川氏のゆるい解説で若冲聞いてみたいです。
Tak管理人 | 2007/02/11 6:15 PM
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