青い日記帳 

TB&リンク大歓迎です!
<< April 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 映画「ナイト ミュージアム」 | main | TDL「シンデレラの戴冠式」 >>

「花鳥画展」

大倉集古館で開催中の
館蔵「花鳥画展」に行って来ました。



2006.12.31大晦日の記事
大倉集古館の「花鳥画展」は新年初めにまず行きたいと思っています。
なんて書いておきながら弥生に入ってからやっと行って来ました。
1月2日から始まったこの展覧会も来週18日でいよいよ終りです。
まだ行かれていらっしゃらない方いませんか〜おススメですよ〜

横山大観の「夜桜」3月13日〜18日の期間限定で展示されるそうです。

さて、いつものようにお世辞にも広いとは言えない展示室ですが
今回もまた見応えある作品が満遍なく展示してありました。
落ち着きのある居心地の良い空間です。

花鳥画は中国から伝わってきたものですので
この手の展覧会では必ずまず最初に中国の作品が紹介されます。


伝李巖「群禽図

この作品ではさほど感じることはできませんが、
桜の花を描いた「上林春色図」や
梅の花を描いた「花卉小禽図」などは
日本の花鳥画に比べると花そのものが主張し過ぎているように見えます。

花が若干大きく描かれているようにも見えますし
より花を描くことに力点をおいたのでは?と思えてなりません。
何ていいつつ、詳しい関連性とか全く知らないのですけどね。
定年退職しまだ絵が好きでいたら(いつの話だ…)この辺の事は
詳らかに調べて比較してみるのも面白いかもしれません。

そういえば、中国作品の中にかの愛新覚羅溥儀が描いた
牡丹図」なるものも展示してありました。
1922年に描かれた作品だそうです。

映画「ラストエンペラー」で溥儀が飼っていたキリギリスが
とてもいい役を演じていたこと思い出しました。
「牡丹図」には描かれていませんが、じっと見ていると
花の裏側からひょっこり顔を出しそうな気がしました。
ラストエンペラー
ラストエンペラー
ジョン・ローン


さて、「お手本」の中国の花鳥画の展示が一通り終わると
いよいよ日本国内の作品の登場です。


狩野探幽「花籠に牡丹図

第一印象:日本画らしくない。どちらかというと同じ時代(17世紀)の
オランダ絵画によく見られるような静物画に近い雰囲気を発しています。

同じ花を対象に描いても日本と西洋では明らかな違いがあります。
庭先や道端の自然のままの草木花を描く日本画に対して
西洋画は切り取ってきて花瓶に生けた状態で描くのが一般的です。

この「解釈」といいますか、私の少なく単純な「方程式」から
探幽の描いた「花籠に牡丹図」は明らかに外れてしまいます。

外れた結果、西洋の静物画のようだとの感想に至ったわけです。
(すげ〜単純。。。)

「静物画」といえば「抽象絵画への招待」で大岡 信氏が
こんな事を書かれていたのを思い出しました。

 西洋の言葉で「静物」をさす語がnature morte(死んだ自然)であったり、still life(静止した生命)であったりすることは意味深い。静物画は、これらの語が意味しているところによれば、「自然」や「生命」というものを「死んだ」「静止した」様相においてとらえることで成り立つものだった。自然の姿をとらえるということが、ただちに、自然を静止の相においてとらえることに通じていたのが「静物画」の思想であったといえよう。こういう思想は、たとえば人体の研究をするのにまず死体の解剖から始めねばならなかった生理学、外科学の発展の、ある時代的段階に対応するものだろう。レンブラントが死体解剖の情景にあれほどの凝視をそそいだのに呼応して、フランドルの「静物画」が黄金時代を迎えたことの意義について考えてみるのは無意味なことではない。「抽象絵画への招待」 大岡 信

「死んだ」花を描いた探幽作「花籠に牡丹図」和洋渾然。
楽しく拝見させていただきました。

さてさて、この展覧会で一番驚かされ一番長く足を止め魅入った作品が、
探幽さんの甥にあたる狩野常信(狩野尚信の長男)の作品でした。

2階に上がってすぐの所に展示してあるので
行かれた方はきっと覚えていらっしゃるはずです。

梅図」「梅に鶯図」「梅に尾長鳥・柳に黄鳥図
以上三点。(梅好きなわけではありません)

「梅図」は梅の枝を剪定しないとどんどん伸びてしまいますよね。
あんな感じの梅の木がさらっと描かれている優品です。
伸びた枝がまるでイセエビの触角のようでした。
良く見ると幹も何だかエビ反りしているような…
ノビノビしとした自由闊達な梅の木が描かれています。

で、「梅図」は前置き。
問題はメインは「梅に鶯図」の方です。
中央に梅の老木がどーーんと描かれています。
左右にはその枝が広がります。触手ちっくに。
左右の細い枝にはそれぞれ鶯が一羽ずつとまっています。

これだけでは全然面白くないですが、
狩野常信の凄い点はこの絵を三分割してしまい
三幅からなる三幅対に仕立ててしまったことです。

画像が用意できなかったので「描きました」(おいおい!)
こんな感じの作品です。



キャプションにも解説されていましたが
三幅対自体は珍しいものではありませんが
こうして元々一枚の絵を分割して三幅対に
仕立てるのは極めて斬新なことです。

一枚で売るのもったいないから、三枚にして
三倍お金儲けしよう。などと幕府のお抱え絵師が
考えたとは思えません。独自の発想なのでしょうか。

狩野常信は狩野派の中でも「遅咲き」だったと評価されています。
じっくり考え、構成力を養い、晩年一気にブレイクしたのでしょうか。

狩野派決定版
狩野派決定版
山下 裕二,安村 敏信,山本 英男,山下 善也

「梅に鶯図」の凄さは実はここからです。
(ひっぱり過ぎかなー)
一枚の絵を三幅対に仕立て上げたことまではお話しました。
それに加えて更にその三枚の絵に仕掛けを加えています。

その仕掛けに用意するのもは「霞」
その仕掛けを他の作品使ってでご紹介。

三の丸尚蔵館にある狩野常信の「梅に尾長鳥図」(部分)
 
左は何も手を加えていません。右には「霞」を二箇所配置してあります。
用は「霞」によって絵が上下に分断されて見えます。

これはパソコン上で画像処理したものですが、常信は
前述の「梅に鶯図」に何とこの「霞」を用いているのです。



消しゴムで「霞」の部分だけ消したのかと一瞬見ると本気で思います。
左右対称となるように部分的に消し去っているのです。
っということは、初めからこれ狙って描かれたことになります。

」の位置だって改めて見ると綺麗な点対称となっています。
畏るべし常信。

4月1日からは「狩野派誕生」展を開催するそうなので

この作品も端っこでいいから展示してくれないかな〜

狩野派以外もその他3点ほど。
松村景文「四季草花図

ここの場面の画像しかないのが残念ですが
全体を通して観ると中々奥行きのある良い作品です。

竹内栖鳳「蹴合

シャモらしくぶっとい脚しています。
ちょっと近すぎるだろうと心配してしまいますがお構いなし。
桜の花びらがどちらが優勢なのか物語っているようでした。

小林古径「木菟図

木菟(ミミズク)っていつも一羽で描かれていて寂しそうです。
でもとうの本人はあまり気にしていないご様子。
「何か用?」とでも言いたげに鑑賞者を見つめてきます。

それでは、最後に「今日の一枚

寒緋桜と目白


今日、上野公園で撮影しました。
いい感じでしょ!

ついでにもう一枚!


やっぱり「花鳥画」は「静物画」とは違いますよね。
だって気持ちがウキウキしますもの。

鳥たちに魅せられて―鳥と私と花鳥画と
「鳥たちに魅せられて―鳥と私と花鳥画と」 上村 淳之
松園、松篁と続く、日本画家の三代目に生まれた著者は、花鳥画家の第一人者であると共に、日本鳥類保護連盟から研究所の指定を受け二百余種、1500羽余りの鳥を飼育している。鳥の生態への深い洞察を通して、自然との共生を希う随想集。


この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=946
花や鳥を描いて自然を愛でる花鳥画は、もとは中国絵画における主要な画題のひとつとして唐末ごろにジャンルとして成立し、宋代には隆盛を極めました。モティーフへの客観性、写実性を特色とする中国のものに比べて、我が国では特に近世以降、四季の花鳥風月を理想化、装飾化して描き出す独自の展開を遂げています。日本のみならず東洋で広く愛される花鳥画の華やかで繊細な世界を、館蔵品により展観いたします。中国・朝鮮・琉球そして日本と、様々な国の美意識や時代性を背景に、画人や鑑賞者により育まれた画の粋をお楽しみ下さい。
展覧会 | permalink | comments(6) | trackbacks(4)

この記事に対するコメント

最後のかわいいメジロちゃん、さすがバーディTakさんの面目躍如ですね。
それとお手製の木々。可愛い幹ぶりです。消しゴムのは金雲みたいですヨ。

牡丹の花びらのチリリリリ・・・としたところがとても印象に残っています。

大倉の持つ狩野派はけっこう好きです。というか、大倉は我が最愛の伊東忠太の設計ですから、その時点でらぶらぶです。
遊行七恵 | 2007/03/12 10:30 AM
何よりも本物は美しくて、可愛い!!
メジロちゃん最高!
よく撮れていますねえ。
緋寒桜でしょうか?
gakko | 2007/03/12 6:33 PM
@遊行七恵さん
こんばんは。

会期中に行けて良かったです。
花鳥画の展覧会は行ってまず
損はしませんね。元来花、鳥が好きなので。

メジロはラッキーでした。
帰りにはもういなくなってました。

手描きの松、凄く時間かけた割には
本作のよさが全然伝えられていません。
未熟。

@gakkoさん
こんばんは。

緋寒桜でしょうか?
そうです!
今、上野で綺麗に咲いています。

メジロは甘いもの好きだそうです。
花の蜜を必死に吸っているところかと。
Tak管理人 | 2007/03/12 11:53 PM
TBありがとうございます。こちらからも貼らせていただきました。

この花鳥画展、後期に入ってはじめて行き、予想以上にいい展示で、前期のみ展示の「鶏頭小禽図」を見逃したのが残念です。

メジロの写真、素敵ですね。



なかのたろう | 2007/03/13 11:28 AM
こんばんは。
今日、ぐるパスでいってきました。
軍鶏がないなぁと思ったら、展示入れ替えで、
大観の「夜桜」が出ていました。
狩野組、良かったですね。
中国物の花鳥図も、良かったし、
今回は、屏風が全部、素晴らしかったです。
まさか、ラストエンペラーの牡丹があるとは思いませんでした。次回もお楽しみは続きますね。
あべまつ | 2007/03/13 10:15 PM
@なかのたろうさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

ほんと予想していたより
はるかに良い作品が多かったですね。
前期も行けばよかったです。。。

メジロ花の蜜吸うのに必死です。

@あべまつさん
こんばんは。

大観の「夜桜」展示期間短いですよね。
そうですか軍鶏がなかったのですか。
「夜桜」よりも軍鶏が観たいですよね??

狩野派って東博で開催されている
「下絵」の特別展示観て少しだけ
身近に感じられるようになりました。

次も楽しみです。今度は早めに行こうっと!
Tak管理人 | 2007/03/14 11:33 PM
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
この記事に対するトラックバック
今日は、終わり間近なのでホテルオークラ本館前にある大倉集古館の「館蔵 花鳥画展」へ。間抜けなことに今回も、制服のお姉さんの前で財布を開いたらきれいさっぱり入場料分すら入っておらず、先週の太田記念美術館の悪夢の二の舞かと青ざめましたが、幸い目の前はホテ
大倉集古館「花鳥画展」 | なかのたろうの日記 | 2007/03/13 11:20 AM
館蔵 花鳥画展 2007年1月2日から3月18日 前期 1/2-2/4, 後期 2/6-3/18, 「夜桜」横山大観は3/13-18に展示。 大倉集古館 目に付いた作品を。 中国絵画 牡丹図 愛新覚羅溥儀(1906-1967) 民国・1922年;絵はともかく、16歳にして書は堂々たるもの。 墨梅図 伝王元冕
館蔵 花鳥画展 大倉集古館(前期) | 徒然なるまままに | 2007/03/16 6:39 PM
以前から気になっていた、「花鳥画展」大倉集古館まで行ってきました。 泉屋博古館がお休みに入っているので、ちょっと寂しいのですが、 行ってきて、大満足。良かったです。
花鳥画展 ・大倉集古館 | あべまつ行脚 | 2007/03/22 3:50 PM
大倉集古館(港区虎ノ門2-10-3 ホテルオークラ東京本館正門前) 「館蔵 花鳥画展」 1/2-3/18(会期終了) 会期末日に行ってきました。大倉集古館での「花鳥画展」です。江戸期の日本の花鳥画だけではなく、中国の清や明のそれもいくつか紹介されていました。 いわ
「館蔵 花鳥画展」 大倉集古館 | はろるど・わーど | 2007/03/28 10:03 PM