青い日記帳 

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「VOCA展2007」

上野の森美術館で開催中の
現代美術の展望「VOCA展2007−新しい平面の作家たち−」に行って来ました。



「VOCA展」(ヴォーカ展)は1994年から毎年開催している美術展。
今年で14回目の開催にして初めて出向きました。

「VOCA展」とは?(はてなダイアリー)
VOCAとはVision Of Contemporary Artの略である。

40歳以下の若手の作家さんの平面作品に絞っての展覧会。
面白いのは選考委員になっている方が「これだ!」と思う作家さんの
作品をそれぞれ推薦するというシステムを採用している点です。

ですから自分の感性にビビビッとくる作品もあれば
全く何も感じずスルーしてしまう作品まで様々。

肩の力を抜いて、思い切り脱力状態で観ると
自分の好きな作品の方向性とかに気付き面白いかと。

展示してあった順に、私の心にザワッっと来るものがあった作品をご紹介。

・菅野まり子「
黒く背景が塗られてた大きな画面の三幅対の作品です。
一見、ぱっと見た感じはとてもメルヘンチックな作品に見えますが描かれているシーンは「戦い」「首吊り(処刑)」「略奪」「悲哀」「死」とダークなものばかりです。

ところが数歩下がって全体を今一度眺めてみると
やはりどうしても印象はロマンチックな作品として目に映ります。

対象からある程度距離を置いて捉えた時と
対象に入れ込み、のめり込んだ時とでは
イメージが変わってしまうこと世の常です。

「あんな人じゃないと思っていたのに…」

でも、怖がって近寄らず「綺麗」な側面だけしか受け入れないと
「大きく」なれません。人として。暗部に目を向けてこそ光を得られます。

この世のアンバランスさを描いているように思えましたが
よくよく考えてみるとこの世の調和を作品全体で表現しているのかもしれません。

また、三幅対の「時の推移」も気になりました。
時間のベクトルの向きは向かって左から右なのかな?
あぁ、それともそれ自体、上下を含めパラレルな関係なのかもしれません。


" Paradeisos - enclosed garden "Mariko Sugano exhibition
菅野まり子展 "パラデイソス − 閉じられた庭"
4月9日〜14日
GINZA コバヤシ画廊企画室(中央区銀座3−8−12 ヤマトビルB1F)

・岩堀敏行「ヤク」「」「

ピカソの作品を「子供が描いたような絵」と言ったりしますが
岩堀さんの作品は何と表現したら良いのでしょう?

こんな作品です。(「オリーブの木」)

岩堀さんを推薦したのは、山下裕二先生。
水戸芸術館で彼の作品を観て衝撃受けたそうです。

自分は衝撃は受けなかったのですが、
「なんだこれ」とは思いました(同じことか)

この展覧会には様々な表現方法・技法を試し作品に仕上げ展示してりますが
岩堀さんの作品は紙に鉛筆でさらりと描いただけです。

フランス料理のフルコースでいきなりお皿に何も手を加えない
野菜が盛られ給仕されて来たとしたら……そんな感覚が「なんだこれ」に近いかと。


頭に残っている「ヤク」を描いてみました。

ピカソに見せたい!
ピカソに見せたい!
山本 容子


・山口晃「木のもゆる


このブログでもしばしば取り上げている山口晃さんの大作がありました。
今回のお目当ての作品です。

タイトル「木のもゆる」とある通り、梅の枝枝が燃え(萌え?)
エクトプラズムのような物体がワシャワシャと湧き出ています。画像

ただそんなことよりも、山口さんの作品らしくない点にまず驚きます。
大胆な色使いの作品です。紫・ピンク・緑・うす茶。。。

一番手前の梅の幹は尾形光琳の「紅白梅図屏風」を意識して描き、配置したそうですが、とにかくそんなことよりも色です、色。

新境地の開拓でしょうか。それとも…
とにかく実験的な作品のような印象を受けました。

そんな斬新な作品でありながら、具に見るとやはり山口さんの作品らしさも。
例えば梅の太い幹。随所が露出していますが、中身はメカニカル。 
緑や薄茶で塗られた部分も下地にはいつものような細かな「絵」があります。

脱皮半ばの幼虫のような作品に思えました。

山口晃が描く東京風景―本郷東大界隈
山口晃が描く東京風景―本郷東大界隈
山口 晃

・塩保朋子「天の根

人は自分が到底できないような物を見せられると
言葉が出なくなりひざまずきたくなるものです。

画像はこちら
塩保さんの作品は、1枚3〜4m大のトレーシングペーパー全面に、切り絵のように1cm幅の細かい流線連続模様を刻み込み、天井から床へ張り巡らすインスタレーションです。

塩保さんって「カタヌキ菓子」メチャメチャ得意でしょうね。

・町田久美「成分

山口さんと違って町田さんの作品はいつも通り。
例のしっかりとした強い線で描かれています。

右手の手のひらを開き、左手に大きめのスプーンを持って下さい。
そのスプーン先端を右手の手のひらに、、、サクッと音も立たずに
先端が手のひらに痛みを伴わず入って行くはずです。(ウソ)

そんなシーンが強い線で描かれています。
あまりに強い線なのでそのウソが真実と思えるほどです。

そしてスプーンには何かがのっています。
何から発酵しているヨーグルトのような白い物体です。

あれなんだろう??と考えていたら
次第にこの絵がお釈迦様の姿に見えてきました。
南無〜

・江本幸恵「Clear stream」「Sunlight

タイル張りのプールの水面が描かれています。
どこか懐かしい感じを受けるのは「タイル」からではなく
「水面」からだと立ち去る間際に気がつき、今一度
絵の前に立ちなおしました。人間が持つ原始の記憶とやらが
もしあるとしたら、それを刺激する作品なのかもしれません。

小倉亀遊の「浴女」を最後に少しだけ思い浮かべました。


・清水亮輔「Scene

一番スタイリッシュで格好いい作品。

絵の中にそのまま迷い込んでしまいそう。

WORK SPACE shimizu ryosuke(清水亮輔さんの作品展示サイト)

・神谷徹「Sweetness and light

一番素敵な作品。(もてる作品)

観る角度によって線が見えたり見えなかったり。
画像化は不可能。

実物観たら心ここに在らず。

・吉賀あさみ「invitation

ゲルハルト・リヒター?
コローの森の絵?
等伯の松図?

いえいえ吉賀あさみさんです。

どうもこういった霧がかった作品には弱い。
意図的に人工的に「霧」を作り出し演出しているのがニクイ。

最後に「今日の一枚

山本太郎「白梅点字ブロック図屏風



今年のVOCA賞を見事受賞した作品です。
一等賞の作品って「これが〜どうして??」って首かしげることありますが
今回の山本さんの作品についてはそれは全くナシです。

この確信犯的な作品は付け入る隙がないほど完璧。
考えつくされた構成と表現、それにオマージュも。

森美術館で開催中の「笑い展」では山本さんに笑わせてもらいましたが
上野の森ではお手上げ。降参です。

この展覧会は今月30日までです。
月曜日も開館しています!金曜日は夜7時まで。

美術になにが起こったか―1992‐2006
美術になにが起こったか―1992‐2006
椹木 野衣


おまけ:
受付でもらった「国立ロシア美術館展」の割引引換券。
可愛すぎる。。。


展覧会ではこのマトリョーシカのストラップが販売されるらしいです。
欲しい。。。

またこの展覧会マスコットの愛称を募集しているそうです。
詳しくは↓
展覧会マスコット愛称募集!

採用者には内覧会への招待などの特典があるそうです!
締め切りは23日まで。
 1994年に始まったVOCA(ヴォーカ)展は今回で14回目を迎えます。VOCA展は全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40才以下の若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方式により、毎回、全国各地から未知の優れた才能を紹介してきました。
 今年の展覧会には36作家が出品します。このなかから5名の選考委員によりVOCA賞1名、VOCA奨励賞2名、佳作賞2名が選ばれました。また、大原美術館賞と府中市美術館賞各1名がそれぞれの美術館から贈られました。
 出品作品のなかには、絵画のほか、版画、写真、インスタレーション的な造形など、さまざまな試みが見られますが、今回は比較的オーソドックスな具象画、日本画の伝統を取り入れたもの、よりひそやかで繊細な表現などが目立つように思います。
 若い気鋭の作家たちが絵画や平面作品にどのような可能性を探っているのか、「VOCA展2007」では、現在の美術の状況を映し出した作家それぞれの問題意識や個性的な手法を見ることができるでしょう

展覧会 | permalink | comments(5) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント

すみません、久々にトラックバックで化けてしまいました。うーむ、なんでしょうね。お見苦しくて申し訳ないです。

さて、初めてのVOCA展でしたがとても楽しかったです。
ロビーに参加してた作家さんの個展の案内のポストカードがあったので行ってみたいと思います。

わたしも「ヤク」は取りあげようか迷ったのですがヤメました。もっと沢山の作品を見てっみないとなんとも言えないですねえ。まさかTakさん自筆の画が見られるとは思いもよりませんでしたよ。
あおひー | 2007/03/18 11:56 AM
わたしにとって塩保さん、山本太郎さんは今回の展覧会の収穫でした。
楽しかったです。
山口さんの画はついひいき目に見てしまう傾向にありますが、
それを差し引いてもこの作品は新鮮でした。
さちえ | 2007/03/18 5:48 PM
@あおひーさん
こんばんは。
TBお気になさらずに、
きっとこちらのせいです。
すみません。

「ヤク」勢いでついつい。
こんな感じでしたよね。
ぼんやりとした記憶しかないので。
インパクトはありましたけどね。

菅野さんの個展に私も行ってみたいと思います。
こうしてどんどん深みにはまっていくのですね。

@さちえさん
こんばんは。

山本太郎さんは「笑い展」の椅子提供していた人です。
ご本人のお話伺ったことあるのですが
とても愉快な方でした。(結構まじめかも)

山口さんは今後の発展に注目ですね。
期待大です。
Tak管理人 | 2007/03/19 12:26 AM
こんばんは。
岩堀敏行さんを挙げられるとは、さすがTakさんですね。
私など見た瞬間に、もう目が次の絵に映ってしまいました…。
まだまだ頭が硬いです…。

町田さんは見る度に良いなあと思います。
どこかの美術館で、
小規模でも良いので個展をやっていただきたいです。
はろるど | 2007/03/27 10:08 PM
@はろるどさん
こんばんは。
コメント&TBありがとうございます。

岩堀さんの作品は「なんだこれ?」です。感想。
つかみはそれで十分、知りたくなります。
で、ちょいと調べたらもっと「なんだなんだ?」と。

町田さんの個展、私も希望します。
意外とファンシーなお部屋に住んでいながら
あの作品ですから。。。興味そそられます。

そうそう、そろそろ桜咲きますので。
また是非お越し下さい。
Tak管理人 | 2007/03/28 12:43 AM
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上野の森美術館で始まった「VOCA展」に行って来ました。同じ上野の美術館でもあっちとこっちではずいぶん人出が違うものです。お目当てはもちろん山口晃さん。今回は府中市美術館賞を受賞されています。作品はこちら。 「木のもゆる」というタイトルです。一見意外な程
「VOCA展」 | What's up, Luke ? | 2007/03/18 1:33 AM
VOCAŸ2007??ο????ä?? VOCA??? ???THE VISION OF CONTEPORARY ART 2007?????άΤVOCAä??Τ褦? ¤???14??Τ? ????ä?餤Ĥδ??λ?Τ??Ф????ä?? ??Įĵγ????? ???ä??Τ?ΥŸλκΤ褦???? Τ????ä??ι???Ĥ??? ????衣?? ??ä?Τ????? Τ
VOCAŸ2007?ο?? | あお!ひー | 2007/03/18 11:41 AM
上野の森美術館(台東区上野公園1-2) 「VOCA展 2007 - 現代美術の展望 - 」 3/15-30 今年で14回目を迎えるという「VOCA展」です。昨年に引き続いて見てきました。 まずはどうしても既知の作家に目が向いてしまいますが、やはり町田久美のドローイング「成分」は魅
「VOCA展 2007」 上野の森美術館 | はろるど・わーど | 2007/03/27 9:56 PM